博物館ノート

逓送時計

収蔵品

正確な時間で郵便物の運送を行うため、明治18(1885)年6月12日に「郵便物逓送時計取扱規則」が制定され、運送を担った逓送人の逓送時計(懐中時計)の携行が開始されました。
ただ、当時の時計はゼンマイ式で正確とは言えなかったため、差出局で「正午計」と呼ばれる日時計を用いて基準時間が設定されました。正午計と各人の時計とを合わせることで時間が管理され、逓送人が町村を通過する時間はほぼ一定となったようです。
時計の携行時は外箱(図1)が施錠され、時間の改ざんができないようにもなっていました。
日本で標準時間が制度化される明治21(1888)年より前に、郵便業務においては正確な時間管理が行われていたことが分かります。

059_01.jpg

図1 「郵便逓送集配用諸器械雛型」より
逓送時計と木製の外箱

059_02.jpg

図2 実物の逓送時計