博物館ノート

黒塗柱箱

収蔵品

郵便創業の翌年の1872(明治5)年になると、郵便が全国に実施されたため、たくさんのポストが必要になりました。この時に、高さ123cmの角柱型の「黒塗柱箱」(図1)が設置されました。
近代郵便制度が始まってまだ一年のことであり、「郵便」という言葉自体が一般には馴染みが薄かったため、ポストに書かれた「郵便箱」という文字を「垂便箱(たれべんばこ)」と読み違え、公衆便所と勘違したという笑い話のようなエピソードが『郵便創業談』に載っています。
また、明治5年から明治10年代前半の錦絵(図2)には、緑色の角柱型ポストが多く描かれていることから、この時期には、緑色のものもあったという説もありますが、緑色の角柱型ポストの現存は確認されていません。

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図1 「黒塗柱箱」
1872(明治5)年
幅24.2cm 奥行24.2cm 高さ123cm

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図2 「開化廿四孝郵便」
1877(明治10)年
豊原国周

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図3 「郵便取扱の図」 
1884(明治17)年頃
柴田真哉