まぼろしの切手
収蔵品
日本切手の歴史の中で、発行されなかった切手があるのをご存知ですか?
それは、昭和天皇のご結婚を記念して発行が予定されていた「東宮(昭和天皇)御婚儀祝典紀念切手」で、大正12(1923)年11月のご婚儀に合わせて作成されたものです。しかし、同年9月に発生した関東大震災のためご婚儀は延期となり、切手の発行も中止となりました。
印刷局や切手倉庫にあった印刷済みの切手は、原版もろとも火災によって焼失しましたが、唯一難を免れたのが、すでに南洋諸島に発送済の切手でした。その後東京に返送された切手は、翌年1月挙行のご婚儀の際、皇室に献上されました。
切手の図案には、結婚にゆかりのある筑波山(1銭5厘、3銭)と、当時霞が関にあった東宮仮御所(8銭、20銭)が描かれています。
約一千組しか残っていないとされ、「まぼろしの切手」と言われています。
図1 1銭5厘
図2 3銭
図3 8銭
図4 20銭